吉本歯科医院のオールオン4®
よくオールオン4®は「失敗する」「危険だ」という声が聞かれます。 4本のインプラント、つまり4本の柱で支えるので、その内の1本がダメになった時に残った3本で支えないといけないので、あっという間に崩れるなど、オールオンフォーという治療を受けたにもかかわらず、ダメだったというご相談が当院にも寄せられてきています。しかし診させていただくと、どうもオールオンフォーをしたと患者さんはおっしゃられているのですが、確かに入っているインプラントの本数は4本なのですが、まったくオールオンフォーと言えるようなものではないという患者さんのご相談が多いというのが事実です。
オールオンフォーというのはインプラント治療の治療手技のひとつで世界で初めてオールオンフォーインプラントを開発したのは、ポルトガルのドクターパウロ・マロです。ドクターパウロ・マロはこのような条件、このような患者さんに対して適切な位置、長さ、配置によって成功するということを発表しています。
しかし実際に相談を受けた患者さんの状態をみせていただくと、まったく違ったコンセプト。違う場所にインプラントが埋入されていたり、インプラントの長さが短すぎたり長すぎたり。本数も配置も不十分ということがよく見受けられます。また通常のインプラント治療であれば骨に対してインプラントがまっすぐ入っており、その上に人工の歯をのせることによって上から下に力がかかる。人工の歯の下はまっすぐインプラントが埋入されていることが多いです。そのため掃除の仕方もその肉眼で見える歯の真下を掃除すればいいということになります。しかしながら、このオールオンフォー治療においてはあえて奥の方のインプラントは角度を傾けて配置を優先して設計されていますので、力学的にいい場所に設計されていますので、実はメインテナンスの仕方も違うのです。
吉本歯科医院は香川県で初めてドクターパウロ・マロの開業した日本で初めての医院「マロ・クリニック東京」の提携医院として、香川県で初めて提携医院として認定されました。吉本彰夫は10年以上前にポルトガルのマロクリニック本部でドクターパウロ・マロに直接指導を受け、多くの患者さんにオールオンフォー治療を提供して、その実績を認められたという数少ない日本人歯科医師のひとりです。
当院で治療を受けられた患者さん、転勤で引っ越しをしなければいけない。当然通うことは難しくなってくる。ではどこにメインテナンスに行くようにすれば良いのか?当然ですが、インプラントをやっている医院であればいいというわけではないのです。
正しい、本来のオールオンフォー治療をされている先生でないといけません。オールオンフォー治療は登録商標であります。世界的なトレードマークでもありますので、他社のインプラントや同じノーベルバイオケア社のインプラントであったとしても違う種類のインプラントであっては、その設計からして無理な困難なインプラント体も実は多くあるのです。
当院ではオールオンフォー治療を受けられた患者さんが転勤、転院をされたいという場合にはマロ・クリニックによる提携医院が国内にもほぼ各県にありますし、世界にも認定された医院というのがありますので、そちらにご紹介させていただくことができます。
そしてまた本来のオールオンフォー以外に実はすでに多くの骨を失ってしまった患者さんの場合には、通常のオールオンフォー治療では対応できない場合があります。その場合には頬の骨、頬骨(きょうこつ)というのがあるのですけれども、そこの骨を使ったオールオンフォーハイブリッド(All-on-4 HYBRID™)、オールオンフォーエクストラマキーラ(All-on-4 EXTRA MAXILLA™)によって治療を行う。これがオールオンフォーの治療です。
しかしながら、見よう見まねではそのような治療を受けることはできませんので、無理な配置になってしまったり、無理な設計になって壊れてしまうという患者さんが多く見受けられます。
吉本歯科医院で行うオールオン4®
では具体的にどういうものか?まず上の治療であれば頭の骨、頭蓋骨を基準にみていきます。口元だけではないですね。頭蓋骨です。頭蓋骨の位置に対して正しい位置なのかどうか。そして例えば4本の足がある机をイメージしていただくと正方形の形をした机であれば安定的です。細長いテーブル、会議室とかに置いてある細長いテーブルをイメージしていただくと、4本の足のうち2本は間隔が狭いですが、残りの2本の足は柱と柱の場所は距離が遠いですよね。ですので当然ひずみやすくなります。また地盤、ガタガタした土地にまっすぐな家を建てようと思っても、更地にしないとまっすぐな配置にできません。
ですから、よく歯茎を触らないインプラント治療であるとか、切らないインプラント治療であるとか、腫れないインプラント治療であるとかを謳われている先生がいらっしゃいますが、ドクターパウロ・マロの推奨するオールオンフォー治療においては、骨の形態がフラット、更地であるということが非常に重要であるということをおっしゃっています。
つまり骨をさわらないといけない。そしてまたその骨はインプラントを埋入する部位だけではなく、インプラントとインプラントの間の骨をさわらないといけないのです。つまりもっと言うならば、歯茎をさわらないオールオンフォー治療はほぼない。あえて言うならば、歯茎の下の骨をさわらなくて済む症例のオールオンフォーは1割程度しかないということです。
ですので、地面がガタガタの所にまっすぐな基礎を置こうとしても当然ですが、ガタガタしていますので安定性が実は悪いのです。そしてその配置も違うのです。頭蓋骨に対して適正な配置。適正なインプラントとインプラントとの幅。そして何より大事なのは家で言えば、柱があって、その柱単独では倒れてしまいます。柱と柱を梁でつなぎますよね。そしてその上に壁紙などを貼りますから、中の梁の状態が見えなくなってしまいます。建築で壁板や壁紙が貼られて中の構造体部分と言われる柱や梁の部分、ここがすごく重要なのです。不適切な部位への埋入であったり、当然柱だけではなく梁も頑丈でなくては耐えられません。見えなくなってしまう場所ですので、その使われている梁に値する部分の金属。この量が減ってしまえば当然強度は弱くなりますし、歪んでしまいます。
もっと言うならばそこが少なくなればコストは下がるわけです。その部分が適切になっているのかどうか。これはレントゲンを撮らないとわからないということです。また立体的な構造体ですので、レントゲンだけでも最終的な人工の歯が入ってしまってからではわからないというのが現実なのです。そしてまた下の歯の治療においては、上の歯がある部分に対して上の歯と噛めるところに下の歯が並ぶ。当たり前のようですが、これだけでも実は問題があります。そもそも傾いた地面にまっすぐな基礎は作られることができないのです。つまり頭蓋骨に対して正しい位置に配置されている上の歯に対して下の歯を配置するということであれば大丈夫なのですが、上の歯の位置関係が実は狂っていたとなると顎を傾けなければ、顎を揺すらなければ、こねなければ上の歯と合わないという話になってしまいます。
当然1本の柱に無理な負担がかかってしまいますので壊れてしまいます。
次にメインテナンスにかかる費用です。実は例えば車などもそうですが、買う時にかかる費用と将来発生する費用というのがありますよね。インプラントも同じです。特にオールオンフォーは大事です。治療費だけでなくメインテナンスの費用も必要です。なぜなら車であればタイヤは使っているうちにすり減って、タイヤ交換が必ず必要になります。オールオンフォーも同じなのです。
最も大事なインプラントだけでなくインプラントを支える骨、これが壊れてしまうと実はすべてが崩れてしまうのです。
例えば土砂崩れになってしまったら、地盤が崩れてしまったら、当然どんなに丈夫な家だとしても傾いてしまうのです。
ドクターパウロ・マロはこのオールオンフォーという治療を10年経過した患者さんを多数お持ちです。吉本歯科医院でも10年をすでに経過した患者さんが何人も出ています。なぜ10年も安定した状態が保てているのかです。
ドクターパウロ・マロはあえて弱いところを作っているのです。あえて壊れやすいところを作っているのです。実はインプラントやインプラントを支える骨を守るためにあえて無理な力がかかると壊れてくれる。無理な力がかかると緩んでくれる場所を作っているのです。
つまり遊びが必要ということです。
車もタイヤがすり減ってくれるようなゴム製ではなくて、硬い金属製であったらどうでしょうか?車のボディとタイヤがバネでその衝撃、地面の上から受けた衝撃を車体本体に力が伝わらないようにバネが入っています。これがこのバネがなかったらその衝撃は直接車本体にかかりますし、乗っている方にも衝撃がかかってしまいます。つまり壊れるということです。
オールオンフォーでは壊れやすい部分をあえて作っておき、そしてその部位は定期的に交換する消耗品であるという考えがすごく大事なのです。
定期的にパーツを交換していく。そのひとつのパーツが壊れたら当然あとのパーツも壊れていくのです。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、飛行機いわゆるジェット機、ジェット機のエンジン、ジェットエンジンは実は扇風機が何枚も重なり合ったような構造をしております。
ほんのごくわずかの傷であったとしても、「えっ、このくらい」と思うかもしれない傷であったとしても、その部品はすぐに交換する必要があるのです。
そのたったひとつの部品が壊れることによって扇風機が何枚も重ねられていますから、一部の部品が壊れてしまうとそのあとの後ろの部品が順番に多くの枚数を次々と破壊していってしまうのです。
オールオンフォーも同じです。1本の柱に不具合が出た時に、あと3本が丈夫だからまだ大丈夫だろうというのはないのです。使っているうちに慣れてくるだろう。ちょっと様子を見て経過を見てみようということはないのです。
少しでも不具合の部分が出てきたならばそれは適切に判断し、適切に部品交換が必要であったり、適切に使い方が使えているのかどうか。正しい使い方でないとダメなのです。適切な日々の清掃ができているのか。適切な日々のナイトガード、マウスピースというもので無理な力学的な力が一部にかかっていないかどうか。上から下にかかるのは大丈夫なのですが、横揺れの力に対しては非常に弱いですから、横揺れの力がかからないような設計になっているのかどうか。横揺れの力が一部の部分にかかっていないかどうかを見ていく必要があるのです。そして人工の歯は車のタイヤと同じような設計ですから、使っていただくうちに徐々に徐々にすり減っていきます。形が変わっていくのです。
入ったときには確かに上下方向に力がかかるようになっています。しかしながら例えば利き腕、利き足というのがあるように、患者さんの中には長年の噛み癖というのがある方がいらっしゃいます。これは非常に危険な将来破壊を起こす原因になりうるのです。
なので、両方で噛む。両方で正しい位置で噛む。これは患者さんに努力して練習していただく必要があるのです。
そして片方に傾いてしまってくる場合には、すぐにそれを修正もしくは練習をしていくというのが大事なのです。
どんな使い方をしても大丈夫ということではないのです。正しい位置、正しい噛み方というのがあって初めてオールオンフォーというのは維持できるのです。
インプラントさえ入ればもうずっと使える。今までと同じ噛み方、前と同じ噛み方で噛んでいいということはないのです。
そもそもご自身の歯というのはバイ菌に対する抵抗力もありますし、その歯を失われたからインプラント治療を今受けられているわけです。
ご自身の元々の歯の使い方そのものが実は問題があった。だから壊れたのです。インプラントだから壊れないということはないのです。正しい道具の使い方、本来のインプラントの噛み方というのを知っていただき、それを練習していただくということが大事なのです。
実際にお口の中を調整する医院ではまっすぐ噛めて、カチカチ噛んで調整をした。ところが家に帰ってフカフカの椅子に座って、もたれかかるような椅子に座って、社長が座るようなフカフカしたもたれるような椅子に座って、テレビを見ながら横になって食事をする。できるのか?これは実は無理です。横揺れの力がかかってしまいますので、当然インプラントには無理な負担がかかるのです。インプラントもご自身の歯も骨の中に柱が植わっているような状態です。もっと言い換えれば、砂の山に棒が刺さっていると思っていただくとわかりやすいかもしれません。上から下に力がかかってもそれは大丈夫かもしれない。でも横揺れの力がかかると周りの骨は当然揺すられて、骨が溶けていったり崩れていったり。そういう方向にはそもそも力がかかっても大丈夫な設計ではないので、そういう方向に力がかかったのではダメなのです。ですので噛み方、噛む練習、これは患者さんご自身のご協力、訓練というのが非常に大事なのです。
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吉本歯科医院 吉本彰夫
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